-------- AUTHOR: 宮本 TITLE: [diary] 犬の散歩をしていたら女の子に話しかけられるイベント BASENAME: post STATUS: Publish ALLOW COMMENTS: 1 CONVERT BREAKS: default ALLOW PINGS: 1 PRIMARY CATEGORY: 日記 CATEGORY: DATE: 7/23/2004 2:02:00 PERMALINK: http://type99-3.blogspot.com/2004/07/diary.html ----- BODY:
 夜中に公園で犬の散歩をさせていた。散歩をさせていた、といっても、リードをつけて歩いていたわけではなく、公園まで連れて行って適当に放していただけである。終電間際、駅のほうからチラホラと人が歩いてくる時間帯だ。

 しばらく犬のマロンを放っておいて、1人で棒術の稽古をしてたら、気付くと姿が見えない。慌ててあたりを探してみると、公園のはずれに女の人がしゃがんで、マロンをなでていた。おそらく飼い主の姿が見えなかったので、迷い犬か何かだと思ったのだろう。そこに思いがけず飼い主である僕が現れたというわけだ。

「え、と……。」「こんばんは。」
 無視して通り過ぎるにはあまりにも立ち止まりすぎた。どちらからともなく挨拶をかわした。そのまま何となくお互い立ち去りがたく、彼女は遠慮がちに話しかけてきた。
「ワンちゃん、何歳くらいなんですか?」
「もう18歳になりますね。あちこち弱って大変ですよ」
「そうなんですか! でもいいですね、ちゃんと歩いてて。ウチの犬はもうまともに歩けないんです」
「あなたも犬を飼ってるんですね。何歳くらいですか。」
「16歳なんですけど、私が小1のときからずっと一緒で…。」
 そう言って前髪をかきあげた彼女からは、夜風に乗ってふんわりといい匂いがした。

「水も口を開けて飲ませてあげないといけないし、歩けないから私が抱いて公園まで連れてくるんです」
「それはもう介護ですね。大変だな。」
「そうなんですよ…。」
「マロン、って、こいつの名前なんですけど、耳が遠くなってて、呼んでも聞こえないんですよ」
「あらそうなの? マロン、マロン?」
 彼女はチッチッチッ、と舌打ちをするが、マロンは気付かずふんふんと地面のにおいを嗅いでいる。
「寝てるときに呼んでも起きないから、たまに死んでんじゃないかとヒヤヒヤします」
「アハッ、私も、この暑さでぽっくりいっちゃわないか心配です」
「もう歳が歳だからね」
「ええ…。」
 マロンはぼんやりとあさっての方向を眺めている。彼女がふっと立ち上がった。

「じゃあ…」
「ええ。」
「おやすみなさい。」
「お気をつけて。」

 犬の散歩をしていたら、夜の公園で美少女に話しかけられる、などというマンガかエロゲーみたいなイベントに遭遇しながら、チャンスをものに出来ませんでした。フラグが立ちませんでした。おっかしいなぁ、どこで間違ったんだろう。
 多分、最後の「じゃあ…」の前に何かしら言うべきだったんだろう。でも、今となっては何が正解だったのかよくわからない。

●考えられうる選択肢

A.もう遅いし、不審人物がいると困るから、家の近くまで送っていくよ。

B.君の犬にも会いたいな。いつも何時に散歩させてるの?

C.やらないか? (ジーーッ)


 どれが正解だったんでしょうか……。
 未だにわかりませんが、いずれにせよ、夜の公園で汗だくで棒を振り回している男(=俺)こそ不審人物なのは間違いありません。
----- EXTENDED BODY: ----- EXCERPT: ----- KEYWORDS: