-------- AUTHOR: 宮本 TITLE: [book] 読書感想文(22) BASENAME: post STATUS: Publish ALLOW COMMENTS: 1 CONVERT BREAKS: default ALLOW PINGS: 1 PRIMARY CATEGORY: 日記 CATEGORY: DATE: 7/09/2005 1:16:00 PERMALINK: http://type99-3.blogspot.com/2005/07/book-22.html ----- BODY:
五重塔 幸田露伴

レビュアー: 宮本・ザ・ニンジャ
感應寺に五重塔を建築する計画が持ち上がった。その建築、設計を担当する栄誉をかけて、流れ者でつまはじきもの大工と、皆に慕われる気風のいい棟梁が対立する。男と男の意地のぶつかり合い、職人文学の傑作。話の筋もいいのだが、何よりも文章自体のリズムが良く、読んでいて小気味が良い。文語体で書かれているし、一文、一文がやや長いので最初は多少戸惑うが、慣れればサクサクと読み進められる。名文。
完全な余談だが、週刊アスキーの進藤アナの対談記事で、斉藤孝がこの作品を絶賛していた。曰く「今でも折に触れて読みます。」と。それを受けた進藤アナが「私は小学生のときに読みました」と言うと、斉藤孝は「さすがに小学生じゃピンと来なかったんじゃないですか?」とやんわり驚いていた。どうしてこんな2秒でバレる嘘をつくかね。当時の尋常学校生ならまだしも、30年そこそこ前の小学生が旧字で文語体の文章を読んで理解できるわけがない。だってある章の出だしの文章なんてこうだ。
紅蓮白蓮の香(にほひ)ゆかしく衣袂(たもと)に裾に薫り来て、浮葉に露の玉動(ゆら)ぎ立葉に風の軟(そよ)吹(ふ)ける面白の夏の眺望(ながめ)は、赤蜻蛉菱藻(ひしも)を嬲(なぶ)り初霜向ふが岡の樹梢(こずゑ)を染めてより全然(さらり)と無くなつたれど、赭色(たいしや)になりて荷(はす)の茎ばかり情無う立てる間に、世を忍び気(げ)の白鷺が徐ゝ(そろり)と歩む姿もをかしく、紺青色に暮れて行く天(そら)に漸く輝(ひか)り出す星を背中に擦つて飛ぶ雁の、鳴き渡る音も趣味(おもむき)ある不忍の池の景色を下物(さかな)の外の下物にして、客に酒をば亀の子ほど飲まする蓬莱屋の裏二階に、気持の好ささうな顔して欣然と人を待つ男一人。
 昔の作品は安めなのでありがたいですね。というかまあ、こんくらい昔になると、青空文庫でタダで読めてしまうんですが。→青空文庫:五重塔

★★★☆☆
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